サラサヤンマの調査と保全

投稿日: カテゴリー: 昆虫類調査環境保全自然環境調査

先週、東京近郊のとある場所でサラサヤンマの調査を実施してきました。
前日までの雨模様とは打って変わって、当日は晴れて気温も上がり、絶好の調査日となりました。

さて、タイトルにあるサラサヤンマとは、昆虫類のトンボ目ヤンマ科に属する種類です。
皆様よく御存じのオニヤンマと比べると随分と小さな種類で、腹部に三角形の更紗模様が並んでいるのが特徴です。

この地域では例年、5月から7月にかけて見られますが、ベストシーズンは短く5月20日前後です。
今年は例年と比べると暖かい日が多く、季節の進行が速い印象を受けていましたので、早い時期に調査日を設定しました。
この日は10個体以上が確認されましたが、全てオスの個体であり、メスの個体は確認されませんでした。
昆虫の生態ではよくあることですが、オスはメスより先に出現し、後から羽化してくるメスを待っているかのようです。
今回はやや早い時期に調査日を設定したためかもしれませんが、オスばかりが確認され、メスの確認にはいたりませんでした。

実はこの調査、サラサヤンマ自体の確認が目的ではあるのですが、それ以外にも保全対策として、幼虫をたくさん育てて放流することとしています。そのため、採卵するための親メスが必要であり、今回確認できなかった採卵用のメスを確保するため、5月中にもう一度調査を実施する予定です。
写真はサラサヤンマのオスで腹部がくびれていますが、メスの個体は腹部が太く全体的に黄色い模様が多い印象を受けます。

その他、サラサヤンマ調査の時に確認されたインパクトのある種類を紹介します。

ヤナギの枝先につくシロスジカミキリのメス。この木の根元にはオスの個体も見られました。

オオバヤシャブシに産卵するハンノキカミキリの交尾中の個体。

マテバシイにつくアカスジキンカメムシ。当地ではよく見ることができます。