小型哺乳類の調査について

投稿日: カテゴリー: 哺乳類調査自然環境調査

先日、動物調査の一環として小型哺乳類調査を実施しました。
哺乳類の内、シカ、クマ等の大型哺乳類は足跡、糞等の痕跡によるフィールドサイン調査で確認します。
また、ネズミ、モグラ等の小型哺乳類は、痕跡での確認が困難なので罠(トラップ)による捕獲調査を同時に行います。

今回は、小型哺乳類確認のため使用した罠(トラップ)についてご紹介したいと思います。

調査などで使用される罠(トラップ)には様々なものがありますが、小型哺乳類の調査では補殺用のパンチュートラップ(はじき罠)や生け捕り用のシャーマントラップが主に使用されています。
今回の調査では、生息個体への悪影響(調査圧とも言います)を少なくするため、シャーマントラップを使用しました。

使用したシャーマントラップは、主にネズミ類を対象にした罠です。
この罠の中に餌を入れておき、ネズミ類を罠の内部に誘い込みます。
中に入ったネズミ類が踏板(ふみいた)を踏むとトリガーが外れ、ばねの力で入口が閉まり閉じ込められるという仕組みとなっています。

この餌として何を入れるかが、捕獲の成否に大きく関わってきますが、
今回は雑穀類(ペット用のハムスターフード)とカルパスなどを混ぜたものを使用しました。

※罠を使用した調査は都道府県などの許可が必要です。今回の調査では、自治体の捕獲許可を得て調査を行なっています。

シャーマントラップ
シャーマントラップ内部

今回の調査では40個の罠を一晩仕掛けておき、確認しました。
その中に入口が閉まっている罠を発見したので、中を覗くとアカネズミが入っていました。

アカネズミ(森林や河川敷に生息している日本固有のネズミ類)

その後、30分ほどで残りの罠を回収した所、先ほどのアカネズミ以外に5個の罠が作動していました。
その中に一個だけ重い罠があり、中を確認するとニホンイタチが入っていました。
このニホンイタチは、どうやら先に罠に入っていたネズミを食べようとして入口から無理矢理に中に入ったと推測されます。

ニホンイタチ

ニホンイタチはネコ目(食肉目)に属する動物で、川や沼などの水辺周辺や森林地帯に生息しています。
主にネズミや鳥、両生類、昆虫類などの陸上動物やカニ、ザリガニ、魚類といった水生動物を餌としています。
また、本自治体では準絶滅危惧種に指定されている日本固有の種です。

今回のトラップ調査では罠にかかったネズミを追ってイタチがシャーマントラップに入ることがあるという事もわかりとても勉強になりました。
しかし、捕獲できた種類がアカネズミとイタチの2種のみでした。
私はヒミズやジネズミは確認したことが無いので、次回は確認できるように工夫したいと思います。

アカネズミ